仮想通貨を贈与したときの税金:贈与税と贈る側
家族に仮想通貨を渡すのは単純な話に見えます。実際にはそうではありません。日本では移転の両側に課税があり、多くの人が想定していないのは贈る側のほうです。
受け取る側:贈与税
FAQ 4-1では、暗号資産を相続もしくは遺贈または贈与により取得した場合には相続税または贈与税が課税されるとされています。相続税法が金銭に見積もることができる経済的価値のある財産を課税対象としており、暗号資産は資金決済法上の財産的価値に当たるためです。
暦年課税では、国税庁タックスアンサーNo.4402「贈与税がかかる場合」により、その年の1月1日から12月31日までに贈与を受けた財産の価額の合計額から暦年課税に係る基礎控除額110万円を差し引いた残額に対して贈与税がかかります。これを超える場合、受贈者は翌年2月1日から3月15日までに申告と納税を行います。最新の金額は国税庁にご確認ください。
贈与した仮想通貨の評価
FAQ 4-2は相続だけでなく贈与も対象としています。活発な市場が存在する暗号資産は、納税義務者が取引を行っている暗号資産交換業者が公表する課税時期における取引価格で評価します。評価通達に定めがないため、評価通達5に基づき外国通貨に準じた扱いです。交換業者の残高証明書に記載された取引価格も認められ、購入価格と売却価格の双方が公表されている場合は売却価格でよく、複数の交換業者で取引している場合は選択した業者の価格で差し支えありません。活発な市場が存在しない暗号資産は、その内容や性質、取引実態等を勘案して個別に評価します。
落とし穴:贈る側に所得税がかかることがある
ここが意外に思われる部分で、FAQ 2-10に明記されています。
個人が贈与(相続人に対する死因贈与を除く)または遺贈(包括遺贈および相続人に対する特定遺贈を除く)により暗号資産を移転させた場合、その贈与または遺贈の時における暗号資産の価額(時価)を総収入金額に算入する必要があります。渡した側は何も受け取っていないのに、申告すべき所得が生じます。同項は所得税法40条および所得税法施行令87条を挙げています。
したがって、含み益のある仮想通貨を生前に通常の贈与で渡すと、二つの負担が同時に生じ得ます。受贈者には受け取った価額に対する贈与税、贈与者には同じ価額に対する所得税です。仮想通貨の所得は雑所得として5%から45%の累進的な国税に一律10%の住民税が加わるため、贈与者側の負担は小さくありません。
同じ2-10には低額譲渡の定めもあります。時価の70%相当額未満の対価による譲渡は著しく低い価額による譲渡とされ、時価の70%相当額と対価との差額を総収入金額に算入します。親族に安く売る形をとっても、贈与のルールを回避したことにはなりません。
受贈者の取得価額
2-10では、上記の贈与または遺贈により暗号資産を取得した個人が、その後それを譲渡する場合の取得価額は、その贈与または遺贈の時における価額になるとされています。これは実質的な洗い替えであり、相続人による通常の相続では得られない取り扱いです。相続人による相続は、同じ括弧書きでこのルールから除かれているためです。
生前贈与と相続のあいだにあるこの非対称は実在するもので、二つを同じイベントとして計画してはいけない理由そのものです。
移転する前に確認すること
- 予定する移転日の時価を、利用している交換業者の公表価格で確定させ、証拠を残す。
- 見落とされやすい贈与者側の所得税の位置づけを先に整理する。
- その移転が贈与なのか、死因贈与なのか、遺贈なのか、受け取る側が法定相続人かどうかを確認する。答えによって適用されるルールが変わります。
- 両側で移転を記録しておく。受贈者が数年後に取得価額を証明できるようにするためです。
所得側の全体像は日本の仮想通貨の税金、相談相手の選び方は仮想通貨の税理士の探し方をご覧ください。
一般的な情報であり税務上の助言ではありません。取り扱いは移転の形式によって変わります。実行前に国税庁または有資格の税理士にご確認ください。
記録整理と判断のための補足
仮想通貨の贈与を検討する際、最初に取り組むべきは関係する記録の整理です。 贈与する側も受け取る側も、移転時点の状況を後日正確に再現できるようにしておく必要があります。 具体的には、どの交換業者でいつ取得したのか、取得時の数量と価格、その後に行った売買や送付の履歴を時系列でまとめます。 取引履歴は交換業者の画面から書き出すことができますが、画面の表示だけでは情報が不足する場合があります。 可能であれば、CSVやExcel形式でダウンロードし、必要な項目が含まれているか確認しましょう。 また、複数の交換業者を利用している場合は、それぞれの履歴を一つの台帳に統合すると、全体像を把握しやすくなります。 この作業は税務上の判断を先送りにせず、事実関係を明確にするための第一歩です。
まとめ
仮想通貨の贈与には、税法上明確に定められていない論点が存在します。 例えば、評価方法や移転の形式によっては、どのような取り扱いになるのかが必ずしも明らかではありません。 記事で触れられている内容以外にも、贈与者が複数の交換業者を利用している場合の評価価格の選択や、受け取った側がその後売却した際の取得価額の計算など、個別の事情によって判断が分かれる可能性があります。 こうした未回答の論点を事前に洗い出し、リスト化しておくことが重要です。 その際、自分だけで判断しようとせず、国税庁の公表情報や質疑応答事例を確認し、それでも不明な点は専門家に相談する準備をしましょう。 また、将来の法改正や新たな通達によって取り扱いが変わる可能性もあるため、常に最新の情報を確認する姿勢が求められます。
情報源の照合と記録の整合性
税務上の判断を行う際には、複数の情報源を照合し、記録の整合性を確認することが欠かせません。 交換業者が発行する取引明細や残高証明書は、税務申告の基礎となる重要な書類です。 しかし、これらの書類に記載されている内容が、実際の取引履歴や自分の記録と一致しているかを確認する必要があります。 特に、送金や出金の記録が抜けていたり、数量の端数処理が異なっていたりする場合があります。 また、複数の交換業者間で仮想通貨を移動させた場合、その移動が課税対象となるかどうかも確認が必要です。 記録の整合性を保つためには、定期的に残高を照合し、差異があればその原因を調査して修正することが重要です。 この作業を怠ると、後日税務調査が入った際に説明が困難になる可能性があります。
前提条件の文書化と保存
仮想通貨の贈与に関する税務上の判断を行う際、どのような前提に基づいて計算や評価を行ったのかを文書として残しておくことが重要です。 例えば、評価価格を決定する際に利用した交換業者の公表価格の日時や、その価格を選択した理由、また、贈与の形式が通常の贈与なのか死因贈与なのかといった法的な位置づけなどです。 これらの前提条件を文書化しておくことで、後日税務署から質問があった場合や、税理士に相談する際に、正確な情報を提供することができます。 また、電子メールやメモ書きでも構いませんので、判断に至った経緯を時系列で残しておくと、記憶が曖昧になったときにも役立ちます。 保存期間は、少なくとも法定の申告期限から数年程度を目安に、余裕を持って保管しておくことをお勧めします。
専門家への相談と最終確認
仮想通貨の贈与は、税法上の複雑な論点を含むため、最終的な判断は専門家に相談することを強くお勧めします。 税理士や会計士などの有資格者は、個別の事情に応じたアドバイスを提供してくれます。 相談する際には、これまで整理した記録や文書を用意し、疑問点を明確に伝えることが重要です。 また、相談相手を選ぶ際には、仮想通貨の税務に詳しいかどうかを事前に確認しましょう。 専門家の助言を得た後も、最終的な申告内容を自分自身で確認し、不明な点があれば再度質問するなど、納得がいくまで確認することが大切です。 税務申告は自己責任で行うものですが、専門家のサポートを受けることで、誤りや漏れを防ぐことができます。 また、税務署からの問い合わせに備えて、申告書の控えや添付書類を大切に保管しておきましょう。
記録整理と専門家相談のための実務ガイド
仮想通貨の贈与を検討する際、最初に取り組むべきは関係する記録の整理です。贈与する側も受け取る側も、移転時点の状況を後日正確に再現できるようにしておく必要があります。具体的には、どの交換業者でいつ取得したのか、取得時の数量と価格、その後に行った売買や送付の履歴を時系列でまとめます。取引履歴は交換業者の画面から書き出すことができますが、画面の表示だけでは情報が不足する場合があります。可能であれば、CSVやExcel形式でダウンロードし、必要な項目が含まれているか確認しましょう。また、複数の交換業者を利用している場合は、それぞれの履歴を一つの台帳に統合すると、全体像を把握しやすくなります。この作業は税務上の判断を先送りにせず、事実関係を明確にするための第一歩です。次に、記録の整合性を確認します。交換業者が発行する取引明細や残高証明書は、税務申告の基礎となる重要な書類ですが、記載内容が実際の取引履歴や自分の記録と一致しているかを確認する必要があります。特に、送金や出金の記録が抜けていたり、数量の端数処理が異なっていたりする場合があります。また、複数の交換業者間で仮想通貨を移動させた場合、その移動が課税対象となるかどうかも確認が必要です。定期的に残高を照合し、差異があればその原因を調査して修正することが重要です。この作業を怠ると、後日税務調査が入った際に説明が困難になる可能性があります。さらに、税務上の判断を行う際、どのような前提に基づいて計算や評価を行ったのかを文書として残しておくことが重要です。例えば、評価価格を決定する際に利用した交換業者の公表価格の日時や、その価格を選択した理由、また、贈与の形式が通常の贈与なのか死因贈与なのかといった法的な位置づけなどです。これらの前提条件を文書化しておくことで、後日税務署から質問があった場合や、税理士に相談する際に、正確な情報を提供することができます。また、電子メールやメモ書きでも構いませんので、判断に至った経緯を時系列で残しておくと、記憶が曖昧になったときにも役立ちます。保存期間は、少なくとも法定の申告期限から数年程度を目安に、余裕を持って保管しておくことをお勧めします。最後に、仮想通貨の贈与は税法上の複雑な論点を含むため、最終的な判断は専門家に相談することを強くお勧めします。税理士や会計士などの有資格者は、個別の事情に応じたアドバイスを提供してくれます。相談する際には、これまで整理した記録や文書を用意し、疑問点を明確に伝えることが重要です。また、相談相手を選ぶ際には、仮想通貨の税務に詳しいかどうかを事前に確認しましょう。専門家の助言を得た後も、最終的な申告内容を自分自身で確認し、不明な点があれば再度質問するなど、納得がいくまで確認することが大切です。税務申告は自己責任で行うものですが、専門家のサポートを受けることで、誤りや漏れを防ぐことができます。また、税務署からの問い合わせに備えて、申告書の控えや添付書類を大切に保管しておきましょう。
仮想通貨の贈与を検討する際、最初に取り組むべきは関係する記録の整理です。 贈与する側も受け取る側も、移転時点の状況を後日正確に再現できるようにしておく必要があります。 具体的には、どの交換業者でいつ取得したのか、取得時の数量と価格、その後に行った売買や送付の履歴を時系列でまとめます。 取引履歴は交換業者の画面から書き出すことができますが、画面の表示だけでは情報が不足する場合があります。 可能であれば、CSVやExcel形式でダウンロードし、必要な項目が含まれているか確認しましょう。 また、複数の交換業者を利用している場合は、それぞれの履歴を一つの台帳に統合すると、全体像を把握しやすくなります。 この作業は税務上の判断を先送りにせず、事実関係を明確にするための第一歩です。 次に、記録の整合性を確認します。 交換業者が発行する取引明細や残高証明書は、税務申告の基礎となる重要な書類です。 しかし、これらの書類に記載されている内容が、実際の取引履歴や自分の記録と一致しているかを確認する必要があります。 特に、送金や出金の記録が抜けていたり、数量の端数処理が異なっていたりする場合があります。 また、複数の交換業者間で仮想通貨を移動させた場合、その移動が課税対象となるかどうかも確認が必要です。 記録の整合性を保つためには、定期的に残高を照合し、差異があればその原因を調査して修正することが重要です。 この作業を怠ると、後日税務調査が入った際に説明が困難になる可能性があります。 さらに、判断の前提となった条件を文書化し、保存しておくことが重要です。 例えば、評価価格を決定する際に利用した交換業者の公表価格の日時や、その価格を選択した理由、また、贈与の形式が通常の贈与なのか死因贈与なのかといった法的な位置づけなどです。 これらの前提条件を文書化しておくことで、後日税務署から質問があった場合や、税理士に相談する際に、正確な情報を提供することができます。 また、電子メールやメモ書きでも構いませんので、判断に至った経緯を時系列で残しておくと、記憶が曖昧になったときにも役立ちます。 保存期間は、少なくとも法定の申告期限から数年程度を目安に、余裕を持って保管しておくことをお勧めします。 最後に、専門家への相談と最終確認の重要性を強調したいと思います。 仮想通貨の贈与は、税法上の複雑な論点を含むため、最終的な判断は専門家に相談することを強くお勧めします。
FAQ
仮想通貨を贈与された側に税金はかかりますか?
かかります。FAQ 4-1では、贈与により暗号資産を取得した場合には贈与税が課税されるとされています。暦年課税では、国税庁タックスアンサーNo.4402により、その年に贈与を受けた財産の価額の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残額に課税され、翌年2月1日から3月15日までに申告と納税を行います。
贈った側にも負担がありますか?
生じることが多く、ここが見落とされます。FAQ 2-10では、贈与(相続人に対する死因贈与を除く)または遺贈(包括遺贈および相続人に対する特定遺贈を除く)により暗号資産を移転させた場合、その時の価額を総収入金額に算入する必要があるとされています。何も受け取っていなくても申告すべき所得が生じます。
親族に安く売る形にすれば回避できますか?
できません。FAQ 2-10は、時価の70%相当額未満の対価による譲渡を著しく低い価額による譲渡とし、時価の70%相当額と対価との差額を総収入金額に算入するとしています。
受贈者の取得価額はどうなりますか?
2-10の贈与および遺贈の場面では、取得した個人がその後譲渡する際の取得価額は、その贈与または遺贈の時における価額になります。この洗い替えは、相続人による通常の相続では得られません。相続人は同じ規定から除かれているためです。
