DeFiの税金:スワップ・流動性提供・イールドファーミング
DeFiは、日本の仮想通貨税務が計算から判断に切り替わる地点です。公表されている取り扱いは、構成要素についてははっきりしています。ただし、組み合わさった取引のすべてに答えているわけではありません。そこを曖昧にしたまま進めると、根拠を説明できない数字が出来上がります。
本記事では、国税庁が実際に示していることと、類推で判断せざるを得ない領域を分けて整理します。
すべての土台になる二つのルール
ひとつめ。スワップは譲渡です。FAQ 1-3「暗号資産同士の交換を行った場合」は、ある暗号資産を別の暗号資産に交換する行為を課税対象の取引として扱い、円換算で評価します。日本円が介在する必要はなく、少額のスワップを除外する規定もありません。日本円に一度も触れないDeFiユーザーでも、一年分の課税対象の譲渡が積み上がります。
ふたつめ。報酬は受領時の所得です。FAQ 1-7はマイニング、ステーキング、レンディングを対象とし、取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)を総収入金額に算入し、要した費用を必要経費に算入するとしています。この価額はそのトークンの取得価額にもなるため、後日売却したときは、それを基準にした二つめの独立した課税イベントが生じます。
この二つを正直に適用すれば、DeFiユーザーの実際の行動の大半は決着します。
よくあるパターンへの当てはめ
- DEXでのスワップ:1-3の射程内です。渡した側のトークンの譲渡として、その時点の円換算額で評価します。
- イールドファーミングの報酬:ウォレットに入ってくる報酬トークンは1-7の型です。受領時の円換算額が所得となり、その額がそのトークンの取得価額になります。
- レンディングの利息:1-7がレンディングを明示しています。
- ガス代とプロトコル手数料:FAQ 2-3は、売却による所得の必要経費として譲渡原価と売却の際に支払った手数料を挙げ、その他の支出は売却のために直接必要と認められる部分に限るとしています。
取り扱いが示されていない領域
流動性プールへの預け入れとLPトークンの受け取りについては、専用の質疑応答がありません。その預け入れ自体が預けた資産の譲渡に当たるかどうかは、その交換をどう性質決定するかによります。ここは確立したルールではなく判断の領域である、というのが正直な整理です。LPトークンの償還、インパーマネントロス、ラップやブリッジ、リベース型トークンについても同じことが言えます。
できることは、一貫した処理をとり、その理由を説明できるようにしておくことです。避けるべきは、ケースごとに税額が小さくなる性質決定を選ぶことです。金額が大きいのであれば、計算ツールではなく税理士に相談すべき局面がここです。
日本でDeFiの負担が重くなる三つの理由
税率:仮想通貨の利益は雑所得として他の所得と合算され、5%から45%の累進的な国税に一律10%の住民税が加わるため、実効的な上限はおよそ55%です。
通算できない:FAQ 2-11のとおり、雑所得の金額の計算上生じた損失は給与など他の所得と通算できません。所得税法上、通算できるのは不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の損失に限られるためです。同じ年の利益が出たファームと損失が出たファームは雑所得の中で相殺されますが、通年で損失の年でも給与の税金は減りません。
報酬の件数:ブロック単位や日次で積み上がる報酬は、数百から数千件の独立した所得イベントになり、それぞれに時刻ごとの円換算額が必要です。手作業では終わらない部分であり、DeFiユーザーが表計算ではなくソフトウェアを必要とする最大の理由です。
取得価額の計算方法
譲渡原価は総平均法または移動平均法で計算し、暗号資産の種類ごとに選定します。FAQ 2-5は、初めて取得した年分の確定申告期限までに「所得税の暗号資産の評価方法の届出書」を提出する必要があるとし、届出書の提出がない場合の評価方法は総平均法になるとしています。変更手続は2-6に定められています。
DeFiでは特にこの選択が効きます。同一トークンの出入りが年間を通じて大量に発生すると、二つの方法で結果が実質的に変わるためです。
所得側のルールは日本の仮想通貨の税金で、DeFi全般の仕組みはDeFiの税金ガイドで解説しています。
一般的な情報であり税務上の助言ではありません。DeFiの取り扱いには本質的な不確実性があります。ご自身の処理は有資格の税理士にご確認ください。
FAQ
課税されます。FAQ 1-3は暗号資産同士の交換を円換算で評価する課税対象の取引として扱っています。日本円が介在する必要はなく、少額のスワップを除外する規定もありません。
受領時です。FAQ 1-7は、マイニング、ステーキング、レンディングにより取得した暗号資産の取得時点の価額を総収入金額に算入し、要した費用を必要経費に算入するとしています。その価額は後日の譲渡に用いる取得価額にもなります。
専用の質疑応答はありません。資産を預けてLPトークンを受け取る行為が譲渡に当たるかは、その交換の性質決定によります。確立したルールではなく判断の領域である、というのが正直な整理です。一貫した処理をとり理由を説明できるようにし、金額が大きい場合は税理士にご相談ください。
減りません。FAQ 2-11のとおり、雑所得の金額の計算上生じた損失は給与など他の所得と通算できません。所得税法上、通算できるのは不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の損失に限られます。
